2004年9月に朝鮮中央テレビで放映された、ダム工事に動員された突撃隊の姿。

 

◆「突撃隊」とは何か?

国家的な大きな建設プロジェクトに動員される建設労働部隊のことを「突撃隊」という。職場や党員などから選抜される。

発電所、平壌のアパート街、道路や鉄道などの建設に投入される。基本的には無報酬で、軍隊を模倣した組織形態を持つ。

今回の三池淵建設のための「突撃隊」は、金正日氏の生誕日にちなみ「2.16師団」と名付けられ、その下に、日本の都道府県に当たる「道」ごとに旅団が置かれている。例えば「2.16師団傘下の平安南道旅団」という具合だ。その下に大隊が置かれる。

「工事現場に道別に宿舎を建てて『突撃隊員』は合宿生活をさせられている。全国から支援食糧を徴発しているので、食事は出ているようだ。

現地に住み込んでの土木作業は6カ月交代。家庭の主婦は常駐できないので、道路補修に頻繁に動員される。作業に出ない住民は金を出せなくてはならない。」
三池淵郡に住む別の取材協力者は、現地の様子をこのように言う。金持ちは金を払えば実質的に動員は免除されるため、不公平感も強いという。

三池淵建設に、一体どれくらいの人員が動員されているのだろうか? 正確には不明だが、全ての道で広く組織されていることに加え、「突撃隊」以外にも、軍が大規模な建設部隊を投入しており、全体では常時数万人が従事していると思われる。

現在、当局が特に力を入れているのは、恵山-三池淵間の鉄道工事だ。この工事は金正日時代から始まっていたが、資材不足、エネルギー難で完工が大幅に遅れていた。

金正恩政権は2年前から作業を急がせたがでたらめが多く、金正恩氏が、7月に現地視察した際にそれを批判し、一部をやり直すことになったという。

「地元の恵山市では、機関、企業所ごとに担当する区間を決めて線路用の砂利の追加、石垣工事のやり直しをさせている。線路の路盤固めもやり直しているが、もう何年も延々とやっている」
と三池淵郡の取材協力者は述べる。

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