ヒアリングがおこなわれた11月21日の環境省石綿飛散防止小委員会のようす。被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」など5団体が意見を述べた(井部正之撮影)

 

環境省におけるアスベスト規制の強化に向けた検討が本格化している。11月下旬には1回目のヒアリングで5団体が意見を述べた。被害者団体の訴えとは(井部正之/アジアプレス)

◆規制すら知らない委員も
「アスベスト規制の抜本的な強化が必要です」──。

環境省が1121日に開催した、大気汚染防止法(大防法)のアスベスト規制強化を検討する石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直・早稲田大学大学院法務研究科教授)で被害者団体らが訴えた。

アスベスト規制を若干強化した20136月の大防法改正(20146月施行)で、5年後の見直しが定められており、同省は10月からようやく法改正の検討を始めた。
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ところが、1018日の1回目会合で示した資料では、先行する厚生労働省に追随するだけの内容が多かった。罰則が適用困難なうえに軽すぎるとの問題についてはきちんと資料にも記載されておらず、環境省に踏み込むつもりがないことがうかがえる。しかもアスベスト規制の内容や実態を知らない委員が少なくない。過去の検討資料すら読んでいないとみられる委員までいた。これでは抜本改正にはほど遠い。

2回目の会合となる1121日、業界団体などのヒアリングがおこなわれた。

被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の平田忠男会長(75歳)は「今日は『家族の会』会長として、また私自身胸膜プラーク患者として、さらに弟を41歳で悪性胸膜中皮腫によって亡くした家族・遺族として、思うところの一端を述べさせていただきます」と話し始めた。

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