20025月アスベスト被害者・遺族が初めて環境省や厚労省、日本石綿協会(当時)にアスベストの使用禁止などを求めたが、厚労省と石綿協会が「これからもアスベストを使用し続ける」と回答したことに平田会長は触れ、こう指摘した。

「石綿協会は『アスベストは管理して使えば大丈夫である』とする『管理使用』によって安全に使うことができると主張し、政府もそれを受け入れていた」

その2年後の200410月、国は建材への1%超のアスベスト使用を原則禁止した。翌20056月には兵庫県尼崎市のクボタ旧工場の周辺住民に中皮腫被害が判明した。

「当初クボタ周辺の被害は5人でした。半年後85人と報道されました。現在では339人に上っています。世界最大級の周辺住民の被害が発生しており、これはまさに公害です」と平田会長は言い、こう続けた。

「クボタのようなアスベスト工場はもうありませんが、アスベストの除去や建物の解体の現場ではアスベストの飛散や漏えいは続いており、大きな問題となっています。これらが『小さなクボタの工場』となって被害が発生するおそれは十分にあります」

◆素人が調査・分析・除去可能
尼崎市では解体現場3300か所に立ち入りし、1割超の380か所でアスベスト含有建材の調査での見落としを見つけているという。市が見つけなければ、アスベストを飛散させる事態になっていたはずだ。

こうした状況も踏まえ、平田会長はこう規制強化を求めた。

「アスベストの調査や分析、管理、除去はたいへん難しいですが、適切な資格制度やライセンスがありません。だれでもできてしまう状況です。現在使用されている建物のアスベスト除去を監視する気中濃度測定の義務さえありません。きちんと除去されたかどうか確認することもされていません。罰則も最大50万円の罰金では軽すぎます。抜本的な規制強化が必要です」

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