再生採石のアスベスト(石綿)問題をめぐり、さいたま市でなにが起きてきたのか。同市が10月末に示した方針を機に改めて振り返る(井部正之/アジアプレス)
◆再生砕石からアスベスト
「公園予定地石綿材破片」(読売新聞)
「公園予定地からアスベスト検出」(東京新聞)
「公園の予定地からアスベスト含む建材破片」(埼玉新聞)
10月31日、こんな見出しで始まる300文字ほどの短い記事がいくつかの新聞に載った。
その内容は、さいたま市が中央区鈴谷9丁目の与野中央公園の拡張予定地を調査したところ、再生砕石にアスベストを含有する建材の破片が15個見つかり、市は土砂を撤去して処分する方針という当たり前の行政対応について発表したもの。
同市都市公園課によれば、調査は専門業者に委託して実施。再生砕石が使用された115平方メートルについて、深さ5センチメートルまで掘削し、編み目幅2ミリメートルのふるいにかけて、上に残ったものすべてを目視で確認。アスベスト含有の可能性がありそうなもの20個を採取し、分析したところ、15個からアスベスト含有が判明した。
見つかった建材の破片がどのようなものなのか聞くと、
(1)波形スレート(クリソタイルないしクリソタイル+クロシドライト含有)
(2)フレキシブルボード(クリソタイル+クロシドライト含有)
(3)石綿含有セメント板(クリソタイル含有)
(4)アスファルト防水材料(アクチノライト含有)
の4種類だった。
なお、建材の破片ではないが、同じくアスベストを含有していたものではアクチノライトを含有する天然鉱物も2つ混じっていたことが確認されている。多くの破片は直径3~4センチメートルだったが、アスファルト防水材料は長さ9~10センチの破片もあったという。
再生砕石とは建物の改修・解体で発生したコンクリート廃材など、廃棄物処理法でいう「がれき類」を破砕し、粒度調整したリサイクル製品である。おもに道路などの路盤材や雑草防止などに利用される。
ところが、工事前に実施される調査が不十分だったり、改修・解体作業がずさんだったりすると、本来は取り除く必要のあるアスベスト含有建材がコンクリート廃材などに混ざってしまう。その結果、リサイクル製品である再生砕石にアスベスト含有建材の破片が入り込む。