◆8年越しの撤去方針
わが国においては2006年9月以降、アスベストを重量比0.1%超含むすべての物の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されている(改正労働安全衛生法施行令)。そのため、リサイクル製品であっても、その一部に規制を超えてアスベストを含む材料が使用されている場合、法違反となる。
つまり、再生砕石にアスベストを含む建材片が入っていたことは使用禁止措置の違反となる。まして公園予定地であれば、子どもたちがその欠片で遊んでアスベストを吸うことすら起きかねない。撤去方針は当然である。
だが、市民団体「浦和青年の家跡地利用を考える会(考える会)」代表の斎藤紀代美さんは各紙の片隅に載った短い記事を複雑な気持ちで読んだ。
「やっと撤去するみたいですね」
電話越しに斎藤さんはそういったが、喜びの声はなかった。そしてすぐ、「でもちゃんとやるんでしょうか」と行政への不信感をあらわにした。
過去の経緯からすれば当然だろう。なにしろ、この当たり前の対応までじつに8年掛かったのである。
斎藤さんはこう話す。
「さいたま市はずっと再生砕石にアスベスト含有建材が混ざっていることを否定し続けてきたんです」
(続く)
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