11月21日の環境省石綿飛散防止小委員会のようす。建物改修・解体工事のあり方にかかわるため関心が高く、傍聴席はほとんど埋まっていた(井部正之撮影)

本格化している環境省におけるアスベスト規制強化の検討。11月下旬のヒアリングではアスベスト使用を推進してきた業界団体に対する批判も飛び出した(井部正之)

◆委員の3割が推進団体関係者も

11月21日に開催された環境省の石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直早稲田大学大学院法務研究科教授)では同省の委員選定における不透明さも指摘された。

意見陳述した「全国労働安全衛生センター連絡会議」の古谷杉郎事務局長はそのなかで同省に対し、「政策決定の透明化および適正化」を求めた。

時間不足で具体的には説明しなかったが、その後の質疑で意味を聞かれ、こう答えた。

「やはりこのようなアスベスト被害が顕在化しているなか、加害者、アスベスト使用の立場の人びとがかかわっていることに違和感どころか反対です」

実は環境省や厚生労働省で開催するアスベスト対策についての委員会では、いまだに必ずアスベスト使用の旗振り役だった日本石綿協会を前身に持つJATI協会から委員が選出されているのだ。委員会によってはJATI協会だけでなく、同協会の関連団体からも委員が入り、同協会関係者だけで複数人を構成することさえある始末だ。

最近でも厚労省の検討会で、JATI協会に近いとされる専門家を含めると、13人中4人の委員が同協会に関係ある人びとで構成されていた事例があった。じつに委員の3割に達する。これではまともな議論など期待できようもない。

今回はそこまでのひどさではないが、やはり例外ではなく、同協会が委員に収まっているばかりか、ヒアリングで意見陳述までしている。

一方、被害者団体は委員には入れず意見陳述のみ。

古谷氏はこの点にも触れ、「被害者団体の代表をヒアリングという形だけでなく、委員として加えることも必要だろうと考えています」と主張した。

そもそも「アスベストは管理使用すれば大丈夫」と主張してきながら、JATI協会はどこまで対策をすれば万全なのかを一度たりとも示したことがない。今回のヒアリングでも具体的な政策提言はゼロである。このような団体を税金を使って委員に入れ続けることが本当に必要だろうか。必要に応じてヒアリングに呼べば十分と思うがいかがだろうか。

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