◆責任取らず国の委員継続の異常
スレート板を破砕せずに撤去する場合、「ミンチ解体と比べると5倍くらい手間がかかる」と外山委員は説明し、「メーカーを代表するJATI協会には売ってしまった責任もあると思うが、費用負担について考えているか」と質した。
浅見委員は「協会もメーカーが半分以下になっていまして、そこらの議論をしていないのが実態です」などと釈明した。
「管理使用すれば問題ない」などと主張してアスベスト建材を大量に製造・販売してきたにもかかわらず、製造者団体として責任を放棄したかのような発言に「しないといけないじゃないか!(石綿被害を)拡げたのはどこの責任だよ!」とヤジが飛んだ。
ニチアスをはじめJATI協会に加盟する少なからぬ数の製造メーカーは、現在ではアスベスト除去でも収益を上げている。「管理使用」を唱えてアスベスト建材を売り続け、労働者や周辺住民に健康被害を出しながら、ようやく使用が禁止されると今度は除去でも儲ける。しかもアスベストを一切含まないはずの建材リストすら間違いだらけで現場に混乱を引き起こす。
そんな団体が過去に推進したアスベストの「管理使用」が嘘っぱちだったからこそ、現在改修・解体時の調査や除去が困難になっており、その費用負担も含めて今回の小委員会でもその規制のあり方が問題になっているのだ。「管理使用」のウソを「個人的に」せよ認めざるを得ない状況である以上、製造者団体として費用負担を含めてどのように責任を取るのか明らかにすべきであろう。
いわば現在の困難を生んだ“元凶”たるアスベスト使用の推進団体がいまだに環境省や厚生労働省の検討会で他人事のような顔をして委員を務めているのは異常というほかない。まず製造者としてアスベスト建材の除去における費用負担も含めて責任を取ることが信頼回復への道ではないか。