三池淵郡の付近図(アジアプレス)

◆強制動員はのべ8万人とも

この取材協力者が地元の幹部たちから聞いた話によると、今年、三池淵建設に動員されたのはのべ8万人に及ぶという。「2.16突撃隊」は原則6カ月交代だったので、2018年度は、三池淵の工事現場に、単純計算すると最大4万人が常駐していたことになる。地域別にテントなどの簡易宿舎を建て合宿生活を強いられていた。

「来年はのべ16万人を動員する計画なのだそうだ。三池淵を世界水準の観光地にするにしても、現地に向かう道路脇にある普天郡、胞胎(ポテ)労働者区のボロボロの老朽住宅が目障りなので、建て替えのために動員数を倍増させる計画だそうだ」

取材協力者はこのように言う。動員された人々は無給。住民たちは資材や献金の供出も強要されており、多大な負担となっている。

※追加情報 12月7日に両江道に住む別の取材協力者から連絡があった。撤収を命じられた多数の「突撃隊員」たちは、結局、当局が準備した列車の貨物車両に乗らせられ、鉄道の要衝である咸鏡北道(ハムギョンプクド)の吉州(キルジュ)まで運ばれて行ったいう。

※三池淵郡の観光特区建設
茂峰(ムボン)地区を「国際観光特区」にする政令が、2015年4月22日に発表された。2016年11月28日付け労働新聞は、三池淵を視察した金正恩氏が、「金正日将軍の故郷である三池淵を革命の聖地として建設すること」を指示したと報じた。また、2017年2月22日付の労働新聞は社説で「三池淵建設のために全党、全軍、全民を総動員しなければならない」という<お言葉>を掲載、金正恩政権の最優先プロジェクトとして進行することになった。

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