◆引き締めは南北対話の「副作用」警戒か
なぜこのような「一罰百戒」が、今繰り広げられているのだろうか?
昨年4月に南北首脳会談が開かれて以降、北朝鮮の一般住民の間では韓国からの経済支援や投資に対する期待が急速に拡大し、自由な韓国に対する憧れを口にする人も増えた。一方で、金正恩政権は国内の引き締めをあらかじめ準備していたようで、秩序や風紀の弛緩を根絶せよと、「反社会主義との闘い」キャンペーンを、春から大々的に繰り広げていた。
資本主義的な服装や髪形を徹底して取り締まり、個人運営の食堂や露店を禁止、韓国ドラマなど、外部情報流入に神経を尖らせてきた。見せしめとして「群衆暴露集会」が各地で開かれたのだった。
韓国との接触が拡大することで、自国の民心が韓国や資本主義に傾斜する「副作用」を警戒しての措置だと考えられる。(カン・ジウォン)
※北朝鮮の2015年改定刑法256条によれば、金品を受け取って「迷信行為」をした者は、1年以下の強制労働の刑、情状が重い場合は3年以上7年以下の懲役刑に処すと定められている。懲役12年の判決を受けたとすれば、刑法が改定されたか他の罪と併合された可能性がある。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮国内に投入して連絡を取り合っている。