新築した平壌の巨大孤児院を訪問した金正恩氏。随行の幹部たちと共に土足で視察している。2015年1月2日付け労働新聞の一面に掲載された写真より。

昨年後半頃から、北朝鮮当局は孤児の待遇改善に乗り出しているようだ。1月になって孤児院のひとつ「中等学院」を調査した両江道の取材協力者は次のように言う。

「機関や企業所への配給はろくに出せない有り様なのに、孤児院だけには支援を手厚くするようになった。子供たちが自分の家のように暮らせるようにせよと、主食は白米で、一週間に一度は豚肉も出している。さらに菓子や果物の間食まで毎日与えている」

協力者によれば、両江道の恵山(ヘサン)市の場合、「中等学院」には60人程度の子供が入所しており、一般の幼稚園、小学校と同じような教育を施しているという。さて、問題はその予算である。協力者は次のように説明する。

「食事の提供は両江道の労働党教育部が担うことになっているが、地方政府の予算ともに、警察、検察などの取り締まり機関や貿易機関にも資金を出させている」

おそらく政府予算だけでは足りず、役所や機関、幹部たちに割り当てが強いられているものと思われる。

「孤児院の待遇が良くなって、最近は逃げ出す子供たちもいなくなり、一カ月に2~3人が追加入所しているそうだ。かつては捨てられた『コチェビ』が多かったが、最近は両親が死亡した子供も預けられようになった。ただ、親が死んでいても祖父母や親族がいれば、生活がどんなに苦しくても入所は困難だ」という。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

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