そのほかにも種類の異なる建材が二重になっている場合に混合して1つの検体として分析しているなど不適正な分析がいくつもあり、大阪府環境管理室事業所指導課が12月14日にそれぞれの建材を分析し直すよう指導している。
1月18日の説明会では改めて分析し直しアスベストの含有がなかったと報告された。だが、府の指導を受けた不適正な分析方法について、分析の指示をしたアスクや分析をした日本環境分析センター(大阪府摂津市)は「問題ない」と説明会で釈明した。
しかし1月25日、ヤフーニュースやアジアプレス・ネットワークに掲載した拙稿「アスベスト調査ミスも工事強行で住民反発大阪・守口の旧市庁舎解体今日にも着工か」で指摘したように、大阪府以外でも厚生労働省や北大阪労働基準監督署も複数の異なる建材を混ぜて分析すべきでないとして、法違反(労働安全衛生法石綿障害予防規則第3条第2項)が問われうるとの見解だ。
行政が法違反だと指摘して指導しているにもかかわらず「問題ない」と強弁し続け、市は
「専門的知識を有する機関の調査・分析結果なので信用するしかない」としてそれ以上調査の再チェックはしないまま1月25日までに着工すると宣言した。
現場の隣地に住む今井奈保子さん(38歳)は「現在のアスベスト調査では信用できない」として、同28日、被害者支援などに取り組む「中皮腫・じん肺・アスベストセンター(名取雄司所長)」らと共に市に対して第三者機関によるアスベストの再調査や除去工事中の監視、除去後に工事が適正に終了したかを調べる完了検査に加え、そうした体制ができるまで作業を実施せず改めて説明会を実施するよう求める要望書を提出した。
市財産活用課は「行政なので法に定められた最低レベルの対応しかできない」と釈明したが、今井さんは「最低レベルができていない」と反論した。最終的に市は「検討します」と回答するにとどまった。
「自由と基本的人権を守る宣言都市」「環境宣言都市」の守口市がそうした宣言の名をこれ以上落とさない対応をするのか注目される。