◆教員集め批判会議まで
北朝鮮北部の両江道恵山(ヘサン)市で1月下旬、高等中学校の男女生徒6人が、性的なアダルトビデオを見ながら不純性行為をしたとして、保安署(警察署)に摘発され調査を受けていると、恵山市に住む取材協力者が伝えてきた。
摘発された生徒たちは恵山市内の城後(ソンフ)中学と渭淵(ウィヨン)中学を今春卒業する予定の6年生だったという。北朝鮮の中学は6年制で、日本の高校3年生に当たる。生徒たちは、集団で性行為をすることになった経緯と、映像の出所について、保安署での調査が続いている模様だ。
協力者は、次のように伝える。
「生徒たちは中国から流入したセックスビデオを見て事に及んだとのことだ。最近では国内で作られたセックスビデオも流通していている。多くは宿泊施設に隠しカメラをこっそり設置して撮ったもので、保安当局で取り締まりを強化している」
北朝鮮では、2000年代初めから、中国から韓国や中国の一般ドラマ、アダルトビデオの流入が続き、複写販売されて広く流通した。特に韓国ドラマは庶民から幹部の間で広く人気を博し、韓国に憧れる住民が急増する原因の一つになった。セックスビデオも富裕層の間で密かに広まっていた。
外部情報の流入と拡散に危機感を覚えた当局は、外国の映像を「不純録画物」として取り締まりを強化。この数年は視聴しただけで懲役が科されるなど厳罰化が進んでいた。しかし、今回、未成年の高級中学の生徒が入手していたことで、統制に限界があることが図らずも明らかになった。
この事件に関連し、教員にも処罰の矛先が向いているようだ。この協力者によれば、1月26日に恵山市内のすべての初等中学校、高級中学校の教員と校長が集められて教員会議が開かれ、摘発された生徒が通う学校の教員と校長が批判を受けたという。(カン・ジウォン)
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入し連絡を取り合っている。