アイウンには、背の高いビルが立ち並び、マクドナルドが営業を開始していた。パン屋がたった2軒しかなかったダフラは、地図がなければ迷うほどの大きな街になっていた。街を行き交う人々には、少し、都会特有のよそよそしささえも感じられた。
周囲に広がる砂景色は昔のままだが、街に入れば、1995年に私が初めてこの地を訪ねたころの面影は、今はほとんど見られない。西サハラ各都市は、西サハラ問題などないかのように、拡大を続けている。
2018年、新旧のビジネスが活気をもたらす西サハラで、この地が置かれた実情と、この地に暮らす人々の声を探った。少しでも、西サハラの霧が晴れることを祈りつつ。
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岩崎有一
ジャーナリスト。1995年以来、アフリカ26カ国を取材。アフリカの人々の日常と声を、社会・政治的背景とともに伝えている。近年のテーマは「マリ北部紛争と北西アフリカへの影響」「南アが向き合う多様性」「マラウイの食糧事情」「西サハラ問題」など。アジアプレス所属。武蔵大学社会学部メディア社会学科非常勤講師。
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