大阪府堺市が2017年3~4月に実施した北部地域整備事務所における煙突のアスベスト除去工事が「適切ではなかった」と第三者機関による調査報告書で結論づけられた。(井部正之/アジアプレス)
◆工事は「粗い仕事」と再認定
2月14日、建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)が市に提出した報告書で明らかになった。
報告書によれば、2017年5月27日に同協会に所属する公的資格「建築物石綿含有建材調査者(現・特定建築物石綿含有建材調査者)」保持者7人で煙突内を調査し、(1)横引き煙道(ボイラーと煙突をつなぐ煙道)取り合い部に煙突用断熱材の小片・小塊、(2)煙突内側に筋状(縞状)の煙突断熱材──の残存を発見。分析によりアスベストの1つ、アモサイト(茶石綿)の含有をそれぞれ確認した。つまり、煙突内にアスベストの取り残しが認められたのである。ここまでは2018年6月の中間報告と同様の記載である。
中間報告では、「横引煙道の接続部の取り残し」や「筋状の取り残し」などから、「細部の施工状況は“粗い仕事”であると判断される」と指摘する一方、「煙突用アスベスト断熱材の大部分は除去されており、残存部分は極少」とも記載されており、問題はないかのような誤解を与えかねない内容があった。
その記述から市は市議会などで「残存部分は極少」と繰り返し、あたかも適正な工事だったかのような主張を続けた経緯がある。
今回の報告書では同協会による「施工状況についての最終見解」として、改めて「横引き煙道の接続部位の小片や小塊の取り残し、煙突内側の筋状(縞状)の取り残し等があることから、細部の施工状況は“粗い仕事”であると判断される」と断じた。国のマニュアルなどからすれば当然だが、やはり工事は「粗い仕事」だとの見解だ。
◆残存「極小」でも「不適切」
前回誤解を招いた煙突内における縞状のアスベストの残存が「極小」とした件では、「総量として作業前の製品厚み50mmと較べると“極少量”」としつつも、あくまで除去前の石綿断熱材量との比較であり、取り残しが少量だからといって「除去工事が適切だったとの評価にはならない」と明記した。