◆なぜ生産者の農民が飢えるのか?

なぜ北朝鮮では生産者の農民が飢えるのか? 集団農業に固執する北朝鮮では、協同農場ごとに、軍隊用の「軍糧米」と国に納める「ノルマ」(計画量)があらかじめ決められ、それを超過した収穫が農民の取り分となる。しかし、この「ノルマ」が大き過ぎるのだ。

また、昨年は猛暑と干ばつで全国的に不作であったが、それにもかかわらず「ノルマ」分の上納が強いられた。つまり、国家による徴発、収奪のせいで、生産者が飢える構造になっているのだ。

取材協力者たちによれば、3月末に今年の穀物生産計画が発表された。それは国家計画委員会を通じて各市、郡に、そして各地の協同農場に伝達されたという。

発表された今年の国家穀物計画量は計700万トンで、一町歩(約1ヘクタール)当たりコメは6トン、トウモロコシは12トン、ジャガイモは40トンを基本とし、農地の条件に応じて細分化された計画が各農場に下達されるという。

「国家計画の数値なんて形式にすぎず、まったく意味がない。現状では計画達成は無理だと農民たちは言っていた。4月初旬から食べる心配をしているのに、『ノルマ』は最大値が維持されるのだろうと、動揺していた」と協力者は伝える。

両江道の普天(ポチョン)郡にある農場の場合、昨年の一町歩のトウモロコシの計画量は8トンだったが、実際の生産量は3.2トンにしかならなかったという。

生産者である農民が食糧難に喘ぐのは毎年のことだ。しかし今年は早い。経済制裁で外貨を節約したい金正恩政権は、食糧輸入を最小化しようとするだろう。農民には無理なノルマを課して収奪を継続する可能性が高い。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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