旧庁舎解体のアスベスト(石綿)対策をめぐり混乱が続く大阪府守口市。今度はアスベストの調査ミスが多数見つかった。その中にはもっとも危険性が高いとされる吹き付けアスベストすら含まれていた。(井部正之/アジアプレス)
◆吹き付けアスベストが残存
守口市は5月15日、旧庁舎解体にともなうアスベスト対策について、3度目となる住民説明会を開催した。筆者は取材を拒否されたが、当日の音声データを入手したのでその内容をお伝えする。
「機械室の中で吹き付け石綿の除去が相当昔に終わっているんですね。そこに木毛板を張ってあります。そこのところをよく見てみると(アスベストの)取り残しが若干あるんですよ」
こう指摘したのは市から第三者的な立場で現場の再調査を依頼された建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)の担当者だ。
吹き付けアスベストは危険性のもっとも高い「レベル1」に分類される建材だ。その除去では作業場をプラスチックシートで隔離するだけでなく、内部を負圧にして高性能フィルター(HEPAフィルター)でアスベストを外部にもらさず排除する集じん排気装置を設置。作業員は専用の防護服に電動式の全面マスクを着用するなど厳重な対策が必要とされている。それだけ健康リスクの高い代物なのである。
もともと旧庁舎の解体工事では、本館と1~3号別館の計4棟を今年の12月下旬までに完了する予定だった。市によれば、2018年6月に受注したダイナ建設(大阪市)や同社から依頼を受けて調査を実施したアスク・サンシンエンジニアリング(横浜市)らが同7月23日からアスベストの事前調査を開始し、11月9日ごろに調査報告書が提出された。
1号別館機械室内の吹き付けアスベストの除去は今回の解体工事における施工ではなく、もっと以前に実施されたものという。その際、十分除去されないまま現場に取り残した吹き付けアスベストが少量とはいえ残されていたのである。
過去の施工である以上、この取り残しそのものは現在の施工業者に責任はない。
問題は、3か月以上も掛けた事前調査でこのアスベスト除去残しを発見できていないことだ。
しかも機械室における除去工事後のアスベスト残存は1か所だけではない。1号別館には1~5階までの各階に機械室があり、それらすべての機械室で同様に取り残しがあったというのである。