◆謝罪も詳細説明もなし

調査者協会はわざわざ「残念ながら」と前置きして説明しており、違法性についてある程度は認識していたとみられる。しかし、同協会は以前の調査結果を一切渡されないままアスベスト調査だけを依頼されたと最初に説明しており、過去の施工状況が不適正だったかの調査は委託の範囲外とみられる。

当然ながら、調査結果に基づいて詳細な事実関係を明らかにする責任は、元請け業者や施工監理業者、発注者にあるはずだ。しかし、元請けのダイナ建設、施工監理の建綜研(大阪市)、発注者の市のいずれも説明会で謝罪はおろか、違法性について言及すらしなかった。

ちなみに市企画財政部の工藤恵司部長が説明会の冒頭で「お詫び」したが、あくまで「工事の一時停止」についてであり、今回問題にしている“違法工事”に対してではない。

説明会後、改めて見解を求めたところ、市財産活用課は「旧庁舎の石綿調査について、当初行った事前調査では、本館3階廊下、議員控室9などの壁には石綿が含有されないと報告されております。これに基づいて、受注者は解体作業を行ったものです」と回答した。

筆者が尋ねた作業の違法性やその認識、作業の詳細、届け出の有無、違法性を説明しなかった理由などには一切答えなかった。こうした対応ぶりにも市の「誠意のなさ」が表れているといわれても仕方あるまい。

当初から旧庁舎の解体におけるアスベスト対策の不備を指摘し、対策強化を求めてきた現場隣地に住む今井奈保子さん(38歳)はこう憤慨する。

「違法性について市からも業者からも何も説明はありませんでした。市は認識すらしてないのではないでしょうか。(アスベストについての)専門性がないということはこういうことなのかと思う。ちゃんとできない人たちがやっているのが改めてよくわかりました。そういう業者には金返せといいたい」

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