「自由と基本的人権を守る宣言都市」「環境宣言都市」と掲げられた旧庁舎でアスベスト調査ミスが続出している(井部正之撮影)

大阪府守口市で旧庁舎解体をめぐりアスベスト(石綿)の調査ミスが多数見つかった。だが、問題はそれだけではなかった。(井部正之/アジアプレス)

◆過去に未調査箇所の報告なし

守口市が5月15日に開催した説明会で、過去の調査で多数のアスベスト含有建材が見落とされていたことが明らかになった。現状では“多数”というほかないが、危険性が高い吹き付けアスベストなど「レベル1」建材に限っても20か所以上に上る。

その詳細はヤフーニュースやアジアプレス・ネットワーク掲載の『<守口市アスベスト>ずさん! 旧庁舎解体で調査ミス続々発覚 残存、見逃しなど20か所以上』を参照されたい。

過去のアスベスト調査のずさんさは、単に多数の見落としがあったというだけではない。

前掲記事で報告したように、現場の再調査を実施した建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)は機械室の吹き付けアスベストの取り残し以外にも調査できなかった「未調査箇所」として、1号別館のダクトシャフト、2号別館のエレベーターシャフト、3号別館2~3階の厨房やトイレなどの床下は調査ができなかったと報告している。

とくにダクトシャフトやエレベーターシャフトは「いかようにしても中が確認できなかった」と説明しており、3号別館の床下も調査のために少し壊してみたそうだが、アスファルト防水層までたどりつけなかったという。

では過去の調査ではそうした調査できない箇所の報告はあったのか。市は説明しなかったため不明だが、これまでの説明会で未調査箇所は報告されていないまま着工しており、やはり調査ミスの可能性がありそうだ。

前掲記事で指摘したように、調査ミスは危険性が高いレベル1建材に限っても、吹き付けアスベストの取り残し見落とし5か所、屋内仕上塗材19か所の計24か所に上る。詳細には報告されていないが、吹き付けの取り残しと仕上塗材の2種類だけでもそれだけの数になる以上、さらに種類が多く幅広いレベル3建材まで含めたら3桁の大台に乗ってしまってもおかしくないのではないか。

吹き付けアスベストの取り残しは、調査で見落とされていた「調査ミス」のようだが、以前の説明会で配布された資料と比較すると、仕上塗材は一部は分析してアスベスト不検出としていたものもある。詳細は市が資料を配布せず、説明しなかったため不明だが、内装仕上塗材は調査ミスだけでなく分析ミスの可能性もありそうだ。

これだけ間違いだらけだと、アスベストが「不検出」だったとしてすでに除去された建材にも実際にはアスベストが入っていた可能性もあるのではないかと疑わざるを得ないのではないか。

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