ミャンマーとタイを分かつタウンジン川(タイ側ではモエイ川として知られる)に非合法に橋がつくられ、カレンの人びとが行き来していた。(2019年1月末カレン州にて撮影・宇田有三)

◆国境の川は違法に竹橋で繋がれ、人びとが自由に行き来

2019年1月末、ミャンマー(ビルマ)東部に位置するカレン州に入った。私が目指していたのは、タイ国境がすぐ目の前に迫る「カレン民族同盟(KNU)」の総司令部であった。司令部にたどり着いて、2年前の訪問と異なる点に気づいた。それは、ミャンマーとタイを分かつ国境線であるタウンジン川(タイ語ではモエイ川)に、竹造りの橋が架けられていたことだ。その簡易の橋を渡って、対岸のタイ側に暮らすカレンの人びとが続々とミャンマー側に渡っていた。人びとは無料で行き来できる。今年の1月にKNUが橋を架けたが、今のところタイ当局から抗議のようなものはないという。

ミャンマーとタイ国境には、人が渡る橋とは別に、大型車両用が渡河するための船着き場も非合法に整備されていた。(2019年1月末カレン州にて撮影・宇田有三)

ミャンマーとタイ国境の周辺地域に暮してきたカレンの人たちは、近代化の過程で、タウンジン川を人為的に国境と指定され、大きく「タイ・カレン」や「ミャンマー・カレン」として分断されてきた。その結果、彼らは数年前まで、国境を超えるには、ボートを使わなければならなかった。しかし今回、両国の岸が竹橋で繋がれていた。また場所によっては川の両岸に、大型の四輪駆動車を渡すための施設も整備されていた。
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