羅津港。羅津市と先鋒(ソンボン)郡は1991年に自由貿易地帯に指定されたが、北朝鮮側の曖昧な責任所在に起因する高い投資リスクが嫌われ、開発は低調に終わっていた。今は観光地として、韓国人を除いた外国人に開放されている。2008年9月 撮影:朴永民 ©アジアプレス

◆ロシア人観光客にまで貿易提案

「金正恩の訪露以降、多くの貿易業者がロシアと接する羅先(ラソン)市に出向いて、ロシア人観光客にまで貿易取引を持ちかけている。会社の営業内容や連絡先をロシア語で記した営業チラシを作って、あちこちに貼りつけていた。ロシア語の通訳探しが早くも活発になっている」
取材協力者は、貿易業者の「にわかロシアブーム」を、このように伝える。

しかし、状況はそんなに甘くないはずだ。国連安保理の対北朝鮮制裁決議にはロシアも賛成し、その遵守を約束している。制裁違反企業に対する米国の二次的制裁は脅威のはずだ。

実際、朝露貿易も経済制裁の影響で激減している。2018年の北朝鮮のロシアからの輸入額は約3200万ドルで前年比56.8%減少。ロシアへの輸出はたったの約198万ドルで、前年比約46%減だった。

結局のところ、金正恩政権が米国との非核化協議で成果を出さない限り、ロシアが関与できる経済協力は、食糧支援などに限定的にならざるを得ない。

「中国に締め上げられているから、もうロシアしか残っていない。貿易業者らは期待半分、どうせ無理だと諦め半分だが、藁にもすがる思いで動いている」
取材した協力者は、こう述べた。(カン・ジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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