◆デマ発信源を警察が捜査
このようなデマや不満の拡散に、当局も敏感になっているようだ。4月中旬から、保安署(警察)と保衛局(秘密警察)が、デマの発信源を摘発するために市場を中心に捜査を始めたと、各地の協力者が伝えてきている。
「『根拠のない話を人に伝えることも流布罪である』という警告が、人民班会議を通じて出された。デマや流言の出元を逮捕したという話はまだ聞かない」
という。
ちなみに、北朝鮮では「虚偽風説ねつ造、流布罪」が次のように定められている。
「国家に対する不信を醸成しかねない虚偽風説を作ったり流布させたりして社会混乱を引き起こした者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す」(2015年改定刑法211条)
このようにデマや噂が広がっている背景には、2月の朝米首脳会談が物別れに終わり、経済制裁緩和の見通しが立たないことへの失望と不安がある。民生は日々悪化しており、「自力更生」を唱えるだけで、困難解決に対処できていない金正恩政権に対する不満が大きくなっているものと見られる。
◆外交官4人銃殺説も拡散
また、2月末にハノイで開かれた朝米会談を破たんさせたとして、外務省幹部4人が処刑されたという噂も拡散している模様だ。
「米国との会談が成果なく終わったのは、外務省幹部が事前に米国側から金を受け取って情報を流したせいで、大使館員らが銃殺されたと、幹部たちが言い合っている」と、恵山市の協力者は伝えてきた。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮内に搬入して連絡を取り合っている。
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