堺市長選に立候補した3候補ではアスベスト(石綿)対策をめぐる考え方でも大きな違いみられた。被害者団体が6月6日に公表した候補者からの回答によって明らかになった。(井部正之/アジアプレス)
◆災害対策などで認識共通
被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会(平田忠男会長)」堺対策チームが堺市長選に立候補した3候補が公表したマニフェストにアスベスト対策のあり方を示すものがかったとして独自に当選後に実施するアスベスト対策の概要を質したもの。
質問事項は(1)市長に当選した場合、今後どのようなアスベスト対策を実施する考えなのか、(2)アスベスト対策について条例制定を任期中にするつもりがあるか及びその理由──の2つ。
回答が得られたのは大阪維新の会公認で元大阪府議の永藤英機氏及び無所属で元自民党堺市議の野村友昭氏の2人。NHKから国民を守る党の立花孝志氏からは期日までに回答が得られなかったという。
(1)のアスベスト対策のあり方について、永藤氏は、2028年ごろとされる吹き付けアスベストの解体ピークに向け、「解体工事におけるアスベストの飛散防止対策が重要だ」と述べ、「大規模地震等災害発生時における被災建物のアスベスト飛散防止対策の推進が必要である」との見解を示した。またアスベストについての正しい知識の普及・啓発も必要としている。
ただし、具体的な内容はいずれも触れていなかった。
一方、野村氏は、かつて市内に存在していた麻袋再生業が原因とみられる中皮腫などのアスベスト被害が発生していることを踏まえ、「石綿検診の実施、罹患可能性のある方々への呼びかけ」が必要とした。また、「今後発生する、老朽化した建物の建て替えや、災害時の建物倒壊による飛散を防いでいかなければなりません」として、解体工事における建築物所有者・解体事業者への注意喚起・届け出・監視の強化や災害時のアスベスト対策のマニュアル化も必要との考えだ。
さらに「市職員、市民がその危険性について認識することが、身を守ることに繋がります」として、市職員、市民への講演会や学校教育においての、アスベストに関する学習・啓発の必要性を訴える。これら4つの取り組みを積極的に進め、「全国のアスベスト対策のモデル都市となるよう、全力を挙げて参ります」と訴える。
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