旧庁舎解体をめぐり多数のアスベスト(石綿)の調査ミスが発覚した大阪府守口市。調査ミスを公表した説明会で、市は守口市民以外の出席を認めないという差別的対応をしていた。(井部正之/アジアプレス)
◆市の説明会 前日に突然“排除”通知
守口市は5月15日、旧庁舎解体のアスベスト対策について3回目となる説明会を開催した。そこで明らかになった多数の調査ミスや違法工事が疑われる解体作業の状況などは拙稿〈大阪守口市の旧庁舎解体で違法工事!? アスベスト除去せず一部解体 説明会で謝罪なし〉などをご参照いただきたい。
じつは一連の記事は当日の音声データとその後の関係者への事実確認による。つまり直接説明会を取材できていない。筆者は当日説明会の会場を訪れたが、市から「守口市民ではない」ことを理由に出席を拒否されたためだ。傍聴取材についても明確な理由を示されないまま断られたが、筆者自身のことは置いておく。
問題は、旧庁舎のアスベスト問題をめぐり、市に要望を提出したり、技術的なアドバイスをしてきたNGO「中皮腫・じん肺・アスベストセンター(名取雄司所長)」や被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会(平田忠男会長)」の関係者に対しても、同じ理由で説明会から排除したことである。
市が4月下旬、旧庁舎の近隣住民に配布した説明会の開催案内にはとくに参加資格は記載されていなかった。
ところが、説明会前日の5月14日、市は突如、近隣住民以外の排除を決めた。現場隣地に住む今井奈保子さん(38歳)はこう憤慨する。
「市から電話があって、突然、この間相談に乗ってもらっていた(アスベストセンター事務局長の)永倉(冬史)さんや(家族の会・前会長の)古川(和子)さんは近隣住民じゃないから出席できないっていうんですよ。開催のお知らせには何も書いてなかったんですけど……。いろいろ聞いたんですが、『近隣住民じゃないから』『改めて説明するから』と繰り返すばかりでした」
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