住民のほとんどは生活に困窮しています。それぞれが日雇いなどの限られた仕事をして、わずかな収入を得る程度ですが、その仕事がいつまであるかもわかりません。多くが、月に100ドルぐらい(約1万円)でやりくりしなければなりません。それでは家族を養えません。私は記者の仕事をしているので、不安定ながらも少しの収入があります。それでも厳しさに変わりはありません。
◆「シリアはなぜこんなことに...」
現在、学校は夏休みですが、その前は砲撃などで学校は閉鎖されていました。電気供給はなく、一日に2~4時間、発電機をまわします。今の季節、35度を超えるので、電気なしでは、とてもつらいです。水は一週間に一度だけポンプが使え、蛇口から出します。それを携行缶10杯に貯めて、家族7人分の一週間分の料理や、体を洗ったりするのに使います。料理にはプロパンガスを使いますが、ひとつが5600シリアポンド(約1300円)と、高くてなかなか手が出せません。
今日の晩ご飯は、パンとイワシの缶詰でした。薄暗い部屋で家族が食卓を囲みます。以前であれば、今日起きた話などをしたものですが、もうそんな気力もなくなってしまいました。誰も何も話しません。恐怖と絶望が人びとの心を覆っています。それでも家族のために、生まれてくる子どものために生きていかなければならない。シリア人どうしが対立し、政府が自国民の子どもを爆撃で殺す。シリアはなぜこんなことに。悲しみでいっぱいです。
(つづく)
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