シリア北西部イドリブ県では反体制諸派が支配、シリア政府軍とロシア軍よる激しい攻撃が続く。イドリブ出身で、現地で取材活動を続けるシリア人記者ジャベール・アル・バクリ氏(30歳)がネット回線を通じて現地の状況を語った。(聞き手:玉本英子・アジアプレス)
◆「逃げたくても逃げられない」
ジャベール・アル・バクリ記者:
7月21日、私の友人で地元記者のアナス(23)が、ハーン・シェイフンで亡くなりました。彼はイドリブの戦闘や苦境にある市民の日常を記録するかたわら、戦火の中に生きる猫にも目を向け、撮り続けていました。また民間レスキューチーム・ホワイトヘルメットの隊員として住民救助にも奔走していました。ロシア軍機の爆撃で建物は破壊され、その下敷きになって命を落としました。彼はエネルギッシュで、優秀な青年でした。悲しくて、つらくて、涙が止まりませんでした。
地元の住民たちは、イドリブから隣国トルコへ避難したいと思っています。しかし、トルコ国境にはコンクリートの高い壁が設置されていて、乗り越えることはできません。トルコ側にはシリア人の密入国を防ぐための国境警備部隊がいて、国境そばに近づけば射殺されてしまうでしょう。
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