2016年4月の調査で来日したデビッド・ケイ氏の記者会見の様子。撮影藤早苗

<危うい言論の自由>国連特別報告者が新たな勧告(1)ケイ氏の報告をまた拒絶した日本政府

◆3年間勧告を何も履行しなかった政府

フォローアップ報告書作成のために特別報告者から公表された日本政府に対する質問は多岐にわたるが、メディアの独立性に関し政府の責任を問うものは

1. 政府は日本のメディアを管理する法的枠組みの見直しを始めたか? 特に、放送法4条に関して改定は行われたか?
2. 政府は放送メディアの独立規制機関の設立に向けた取り組みを始めたか?もしそうなら、どの段階か?
3. 政府はジャーナリストや調査報道記者を支援することを公に表明したか?また、彼らに対する脅迫や脅しを非難したか。

というものであった。これらは明らかに何も履行されていない。

1については2018年に安倍首相が4条の「政治的公平性」を削除することを提案したが、これは公平性原則を削除して放送特有の規制を緩和することでインターネットテレビ局などの新規参入を促し、政府寄りの放送を増やせるであろう、というもくろみが背景にある。 つまりこれは、現在、放送法第4条が、日本政府が放送局に電波停止を命じる根拠となっており、事実上放送局への規制になっているため、それを改定することでメディアの独立性を保障することを意図する国連の勧告に基づくものではない。そして、安倍首相のこの提案は放送業界などの強い反対により見送られた (※7)
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