住宅地に武装勢力などの兵員が潜んでいるという想定のもと、機関銃でいつでも攻撃できるように監視・警戒しながら飛行する訓練と思われる。
実際に撃ちはしないが、銃口を向けられる住民にとってはただならぬ光景である。 

「住宅地を戦場に見立て、住民を標的にするような訓練です。自分たちが狙われているようで、恐怖を感じます。アメリカ本国ではやらないような訓練で、絶対にあってはならないことです。日本を従属国扱いしているとしか思えません」と、高橋さんはきびしく批判する。

羽村平和委員会の記録によると、2018年6月29日~19年7月11日の1年余りの間に、計34日間・延べ41機がこのような飛行訓練をしていたのが確認された。

1機だけでなく、2機が同時に機関銃の銃口を突き出して飛んでいる日もあった。
それ以降も同様の訓練が目撃されている。

沖縄でも、米軍ヘリが同じように機関銃を民家に向けながら低空飛行訓練しているのを、住民が度々目撃している。

日本の市民をいわば「仮想敵」「仮想標的」に見立て、アメリカではできないような住宅地上空での実戦的な訓練をおこなっているのである。

2019年2月、横田基地所属のCV22オスプレイ4機は、タイでおこなわれた米軍中心の多国間軍事演習「コブラゴールド」に参加した。

この事実が示すように、米軍が横田基地にオスプレイを配備しているのは、アジア・太平洋地域からインド洋、中東、アフリカまでをにらんだ戦力の前方展開であり、決して日本防衛に専念するためではない。

実際、米軍は南アジアや中東、アフリカに特殊作戦部隊を送り込み、現地の武装組織に対する破壊工作や要人暗殺などの秘密作戦をおこなっている。

在日米軍基地はこうしたアメリカの世界戦略に組み込まれ、特殊作戦の訓練・出撃拠点としても強化されようとしている。
続きの第16回を読む>>

[日本は主権国家といえるのか?]連載一覧>>

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

合わせて読みたい記事

★新着記事