◆密室の合意は「日米両政府を拘束する」巨大な力
これまで述べてきたように、米軍を特別扱いし、特権を認めることで、航空管制権や刑事裁判権といった主権の行使が秘密裏に侵害され、独立国、主権国家としてあるまじき事態が、長年にわたって続いている。
ギャラリー(写真8枚): 日本は主権国家といえるのか?
こうした日米合同委員会の密約の全貌は明らかではないが、相当な数に上るはずだ。
しかも、驚くべきことに日米合同委員会の密室の合意は、「日米両政府を拘束する」巨大な効力を持つとされている。
私が独自のルートで入手した在日米軍司令部の内部文書、「JOINT COMMITTEE AND SUBCOMMITTEES」(「合同委員会と分科委員会」2002年)には、日米合同委員会の日米双方の代表はそれぞれの「政府を代表する」とあり、「合同委員会での合意は日米両政府を拘束する」と明記されているのだ。
同じように、外務省機密文書『日米地位協定の考え方・増補版』にも、日米合同委員会の合意は「いわば実施細則として日米両政府を拘束するものと解される」と明記されている。
しかし、日米合同委員会を設置した法的根拠の日米地位協定第25条には、日米合同委員会は、地位協定の実施に関して「協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関」と定められている。
「合同委員会の合意事項は、いわば実施細則として、日米両政府を拘束する」などとは、ひと言も書かれていない。
もちろんそれは国会で承認された解釈でもない。
ただ日米合同委員会の密室でそう解釈して、合意しただけなのである。
それ自体が密約といえる。
それにしても、こんなおかしなことはない。
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