◆残土に混ぜ込み違法処分
若干経緯がはっきりしないのだが、元請けから指示を受けて廃棄物を引き取りに行ったのが、基礎工事の下請けで入った会社の関係者で、いわゆる“一人親方”として建設関連の仕事をしていた南河内郡河南町在住の容疑者の男(52歳)だった。仮に容疑者Aとする。
もともと容疑者Aが元請けに破砕施設を紹介した経緯があり、そのため受け入れ拒否された際に引き取りに行くよういわれたらしい。
容疑者Aはほかの産廃処理業者を探していたところ、知人で警察に通報した建設業者に勤務していた大阪狭山市在住の容疑者B(30歳)がその話を聞きつけ、1万円で処分すると依頼を受けた。そして容疑者Bは、勤務する会社の資材置き場に持ち込んで残土として処分する予定だった土砂に混ぜて捨てようとした。
ところが、引き取りに来た残土処分業者は、スレート片が混ぜられた約255立方メートルの土砂について受け入れを拒否。残土業者は容疑者Bが勤務する会社の社長に連絡した。そうして冒頭の通報につながり、警察が知るところになる。
5月22日の立ち入り調査の段階で1万円で処分するとの依頼を受けたことは明らかになっていたが、容疑者Aは「アスベストは入っていない」と主張。容疑者Bは「入ってると疑いは持っていた」など、証言に食い違いがみられた。
こんな経緯で8月21日、大阪府警は容疑者A、Bの2人を廃棄物処理法(廃掃法)違反の疑いで逮捕した。いずれも同法で必要とされる産廃処理の許可を持たずに受託した(受託禁止)との容疑である。2人とも容疑を認めているという。
9月26日、大阪府警は法人としての口地工務店と同社従業員2人、容疑者A、Bの計4人を廃掃法違反の疑いで書類送検した。
口地工務店と同社従業員2人に対しては、従業員が共謀して、許可を受けた処分業者や産廃を受託する者として定められていない容疑者Aに4月23日ごろに、アスベストを含むがれき類の処分を委託したとの同法第12条第5項第1号(委託基準)違反の容疑である。容疑者A、Bはそれぞれ廃棄物処理の許可などを持たないにもかかわらず、上記のがれき類の処理を請け負った同法第14条第15項(受託禁止)違反の容疑だ。大阪府警によれば、法人、当事者とも「間違いありません」と容疑を認めているという。