情報番組に出演中の筆者(左)。2007年10月、日本テレビの朝の情報番組「サンデー」より。

◆出演して分かった情報番組の仕組

視聴率競争のし烈さも知った。前日放送分の視聴率は分刻みのグラフで出る。裏番組のネタに神経を使い、司会者や出演者のしゃべりの長さ、VTRのテンポ、CMの位置、効果音や字幕の色や大きさなどで数字の上昇、下降の原因を分析する。

情報番組のみならず、民放のプログラムは、「コマーシャルの入れ物」である。たくさんの視聴者を集めれば広告収入が増える。広告収入は会社の利益の源泉であるとともに、番組の大切な制作原資でもある。

某局のある硬派な報道番組は、最近じりじりと視聴率が低下していて、担当者たちはやきもきしている。番組を維持できる「限界視聴率」を切ると、打ち切りになるかもしれないからだ。

情報番組で視聴率を稼ぐために最も重要なのがネタの選択だ。社会的に重要であるかより世間の関心が優先される。その制作現場に関わったことで、一生懸命取材した自分の映像リポートもネタのひとつとして消費され、その対価を受け取っている仕組が分かった。

実に複雑な気分だった。報道番組はともかく、情報番組の場合、社会的に意味があるからではなく、視聴率が取れる時のネタのひとつとして私のリポートが採用されたことがわかったからだ。

もちろん、担当してくれたディレクター、プロデューサーの中には、朝鮮問題を伝える意味や映像の価値を評価して、放送実現に熱心に動いてくれた人が少なくなかった。また、情報番組で私のリポートを見た同じ局のプロデューサーが、夜のメインニュースでの報告の機会をくれたこともあった。

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