◆群衆の前に引きずり出して批判
北朝鮮各地で、生活悪化のために売春行為に走る女性が急増しており、当局が取り締まりを強めている。北朝鮮第二の都市、咸鏡北道の清津(チョンジン)市では、11月と12月に、売春行為で検挙された女性を公開の場で糾弾する「公開暴露集会」まで開かれた。各地の複数の取材協力者が取材し伝えてきた。(カン・ジウォン)
「最近、生活が苦しくて売春をする女性が増え、売春業者まで生まれており、当局が11月中旬から『非社グルバ』がおとり捜査までして集中取り締まりをしている」
12月23日に咸鏡北道の協力者は、このように伝えてきた。「非社グルパ」とは、社会主義の秩序を乱す行為を取り締まる専門組織のことだ。
検挙されたた女性たちは、短期の強制労働キャンプである「労働鍛錬隊」に送られたり、女性同盟で思想闘争会議にかけられたりしている。清津市では、悪質だとみなされた女性が「公開暴露集会」で糾弾されるケースが、11、12月に二度ずつあったという。
「清津市では、覚醒剤使用や韓国ドラマを流通させた罪でしばしば『公開暴露集会』が行われているが、売春では初めてではないか」
と、この協力者は言う。
取材した協力者によれば、清津市や茂山(ムサン)郡では、居住地から少し離れた街や農村から「遠征」して来た女性が大部分で、3~5人程度の女性を抱える小規模な売春組織が保安員(警察官)結託して金を稼いでいるという。
しかし、当局が取り締まり強化の方針を打ち出してから、「非社グルパ」が女性の紹介を頼むなど客を装って検挙に乗り出しているという。また、売春する女性の中には覚せい剤中毒の人が少なくないそうだ。
貧しい女性たちにとって「春をひさぐ」行為は、家族を食べさせるための最後の手段だ。「体を売るのが簡単なことか。どれだけ暮らしがつらくて売春に走ったのか」と、群衆の前で批判にさらされる女性たちに、住民たちは同情的だという。