◆既に感染者発生の噂拡がる

一方で、新型コロナウィルスがすでに北朝鮮国内に広がっているという根拠不明の噂が流れているようだ。協力者Aさんは次のように言う。

「感染者が出たという噂はあるが、患者が隔離されたという話はまだ聞かない。今病院に行っても、風邪薬を処方するだけだ。我が国の医療は落伍しているので、風邪なのか、コロナウィルスの病気なのか、医者たちは専門的な検査も診断もまったくできないのだそうだ。

テレビではマスクを着用しろと言っているが、付けているのは10人に1人くらいではないか。市場では中国産のマスクを売っているが、一つが5中国元(1元=約15.7円)、上等なものは12元もする。白米1キロが3.6元なので、庶民は高くて買おうとしない。マスクが品薄になっているということはない」。

金正恩政権は、新種のコロナウィルスが国内に伝播するのを食い止めることに集中しているが、一方で予防や防疫の周知はまったく十分ではないようだ。協力者の説明によれば、病院には診断・治療の能力がまったくなさそうである。新型肺炎が疑われる症状が出た人が、隔離されるのを嫌って、申告しない可能性も考えられる。

今後、新型肺炎に関する情報を、政府が迅速に公開・周知しないと、北朝鮮内でも中国のように一気に流行し、社会パニックを起こす可能性があるだろう。(カン・ジウォン)

朝中国境地帯地図(アジアプレス)

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