◆森大臣は福島県選出だが…7社から少なくとも413万円
東日本大震災の被災地の一つ福島県が選挙区である森雅子法務大臣が代表を務める政治団体「自由民主党福島県参議院選挙区第4支部」が、東日本大震災復興特別会計を財源とした公共事業を請け負った企業から2012年以降6年間に413万円の企業献金を受け取っていることが、政治資金収支報告書と復興庁が公表している資料を照合した結果分かった。(鈴木祐太)
森雅子法務大臣が代表を務める政治団体「自由民主党福島県参議院選挙区第4支部」(正式には大臣の本名である三好雅子氏が代表、以下、政党支部)は、2012年から2017年の間に、東日本大震災復興特別会計(以下、震災特別会計)を財源とした公共事業を請け負った企業7社から、少なくても413万円の企業献金を受け取っていた。復興庁がホームページで公表している行政レビューと森雅子大臣の政党支部の政治資金収支報告書を照合させて分かった。
献金をした企業が受注した主な事業は次の通りだ。
・福島県水産試験研究拠点整備事業
・被災した法務省施設の復旧
・原子力施設等防災等交付金(楢葉オフサイトセンター電気工事)
・森林における除染等事業
・福島イノベーション・コースト構想(ロボットテストフィールド・研究開発拠点整備事業)
東日本大震災で被災した施設の復旧、または放射能に対する対策・研究などが並び、すべて震災特別会計が財源となっている。
震災特別会計は、当初2020年までの期限付きで、復興にかかる費用を賄うために震災の翌年の2012年に創設された。2019年度の予算額は2兆1000億円超。政府主催の追悼式は震災から10年を迎える来年で終わる予定だが、復興庁が2030年まで延長されたことによって震災特別会計も存続することになった。
◆政治的・道義的に問題
公職選挙法では、国と契約関係にある企業は国会議員の選挙に関し献金をしてはならず、国会議員側もそのような献金を受けてはならないと定めている。また、政治資金規正法では、国から補助金など(試験研究、調査又は災害復旧に係るものは除く)を受けた法人は、その交付の決定の通知を受けた日から1年間、寄付ができないし、国会議員側もそのような献金を受けてはならないと定めているが、公共工事に関連する企業からの献金を受けることは禁止してはいない。
つまり、今の法律では、特別会計であれ一般会計であれ、国の公共工事を請け負った企業から国会議員側がその選挙に関連して政治献金を受けることは禁止されているが、選挙に関連していなければ献金の受領は禁止されていない。
政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は「森大臣の政党支部が同時受領した企業献金がたとえ公選法の禁止するものでないとしても、復興特別会計も出どころは国民の税金だ。したがって、森大臣の政党支部への税金の還流であることに変わりはないから、政治的、道義的に問題がある。返金すべきだ」と問題点を指摘した。