「街中から軍人、兵士の姿がほとんど消えてしまいました」
3月中旬、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)に住む取材協力者に、新型コロナ肺炎に関連して、軍兵士の動向について調査を依頼したところ、真っ先にこのような答えが返ってきた。
朝鮮人民軍の兵員数は人口の5%弱、100万人にも及ぶ。兵士の姿は、全国どこの都市でもありふれて見られる。部隊の移動や休憩はもちろん、兵営から外出した兵士や将校が、市場で買い物や食事をする姿も日常的なものだ。
それが消えてしまったというのだ。なぜだろうか。協力者は次のように説明する。
「コロナウイルスが軍隊内に広がることを防ぐため、近隣の〇〇地区の司令部では、将兵に一切の外出を禁止しています。警務兵(憲兵のこと)がオートバイに乗って、街中や国境警備隊と軍の部隊周辺を頻繁に巡回して、兵士の行動を監視しています。市中では軍人の顔を見ることもないですね」
朝鮮人民軍は例年12月1日から3月末まで冬季訓練に入る。この期間、兵士も将校も統制されて外出禁止になるのだが、それでも部隊の移動や買い物などの用事で外に出てくる。現在、その姿がまったく見えないという。
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