ISは、イラク、シリアで住民を殺害したばかりか、世界各地で市民を殺傷した。組織を壊滅に追い込まなければ、テロは続いていただろう。だが、IS掃討作戦の名のもとの空爆や戦闘で、住民が巻き添えとなって命を落とした。
またIS戦闘員の妻や子供も死んでいる。その責任を問う国際社会の動きはない。
崩れ落ちた建物や瓦礫が、まだあちこちに残るラッカ。ユーフラテス川の流れが、たくさんの犠牲者の涙のように見える。
昨年10月までに5000を超える遺体が市内で見つかった。住民犠牲者や、IS戦闘員とその家族などだ。
「IS家族や地元民の遺体だからといって、分けて扱ったりしません。私たちは、人としてすべきことをするだけです。身元の分からない亡骸は、私たちがきちんと墓地に埋葬し、弔ってあげます」
遺体収容作業を統括してきたアハメド・アコウシュさん(33歳)は、そう話した。
(※本稿は毎日新聞大阪版の連載「漆黒を照らす」2020年4月21日付記事に加筆したものです)
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