(参考写真)中国国境はコロナ流入を警戒して厳戒態勢。写真は鴨緑江の川べりで話す若い男女。平安北道の朔州郡にて2019年9月に中国側から撮影石丸次郎

◆移動など統制厳戒

北朝鮮当局が住民に対して新型コロナウイルスの感染者が発生していることを、初めて通達したことがわかった。北部地域の二カ所に住む取材協力者が、「7月28日の人民班会議で通達があった」と伝えてきた。(石丸次郎/カン・ジウォン

コロナウイルス発生情報を伝えてきたのは、平安北道(ピョンアンプクド)に住むAさんと咸鏡北道(ハムギョンプクド)に住むBさんの二人。両名とも、28日にあった人民班(町内組織)の会議で説明された。通達の内容は共通していて次のようなものだったという。

平安南道の平城(ピョンソン)、黄海北道の沙里院(サリウォン)といくつかの黄海道地域で感染患者が発生した。

今後、居住地外の人間と接触を禁じる。他地域から無断で入って来た人間がいたら、すぐに人民班を通じて申告しなければならない。

中国国境地域では、コロナウイルス流入を防ぐため緊張体制に入る。密輸や越境は厳罰に処する。

協力者のAさんは、「今から思えばコロナ発生の兆候があった。6月に移動統制が緩和されていのに、7月初めからまた厳しくなっていた。荷物運送が統制され、商売人が列車で荷物を送れなくなっていた」と述べた。

◆沙里院では旅館で隔離

協力者のBさんは、すぐに沙里院に住む知人に現地の状況を電話で訊いた。知人は次のように説明したという。

沙里院では、コロナウイルス感染の疑いのある者は診断が出るまで外出禁止になり、家族は当局が指定する『隔離旅館』で過ごさなければならないそうだ。隔離中の食料は個人ではなく人民委員会(地方政府)が負担することになっている」という。

アジアプレスでは、沙里院の軍部隊で6月にコロナウイルスが発生して兵士が隔離されているという情報を、7月中旬に報じていた。また、6月中旬に発行された内部文書に、コロナウイルス発生を示唆する一文があったことを報じている。
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