◆「今も戦争は続き、命が失われている」
ISの中には負傷すると敵を巻き添えに自爆する者もいたり、「いくらでもカネを払うから助けて」と命乞いする者もいた。「死を恐れぬ神の兵士」と宣伝するが、やはり人間だと感じるという。
昨年秋、私は再びコバニを訪ね、モハメド先生との再会を果たした。私は彼を力いっぱい抱きしめた。
「コバニが平和になって良かったですね」
すると先生は言った。
「ISとの戦闘は終わったかもしれない。でも別の地域では今も戦争は続き、人びとの命が失われているのです」
私の目は涙でにじむばかりだった。
(※本稿は毎日新聞大阪版の連載「漆黒を照らす」2020年6月23日付記事に加筆したものです)
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