東京都内でも有数の賑わいをみせる板橋区のハッピーロード大山商店街が再開発とアスベスト(石綿)で揺れている。道路建設と再開発で同商店街「消滅の危機」といわれるだけでなく、解体ラッシュによる飛散が懸念されている。(井部正之/アジアプレス)
◆吹き付け材含め調査ミスか
戦前から旧川越街道沿いに自然発生的に商店が出始め、戦後の闇市で現在の東武東上線・大山駅周辺に多数の店が集まることになったという同商店街は全長560メートル。「板橋の顔」とされ、1日3万4000人が訪れる。
商店街を斜めに突っ切って分断する道路(補助第26号線)建設の計画が持ち上がったのはじつに70年以上前、戦後直後の1946年までさかのぼる。当時戦後復興道路として計画されたものの、1970年代に商店街関係者らによる反対運動が起こるなどして、実現してこなかった経緯がある。ところが、都は木造住宅密集地域に「延焼遮断帯となる主要な都市計画道路(特定整備路線)を整備する」と災害対策を前面に打ち出して手続きを開始。国が2015年2月に事業認可した。
この道路建設により商店街は約3分の1、170メートルが削られて分断。さらに2つの再開発計画により、40店舗以上が立ち退きを余儀なくされる。再開発しだいでは商店街が3分割され、その4割超が消滅する可能性すらあるという。そのため、商店街「存続の危機」ともささやかれる。
関連して都による大山駅の高架化で商店街のアーケードが2メートル削られる可能性があるほか、区による駅前広場や都・区による側道の整備で30軒以上が立ち退きさせられるのだという。
2つの再開発事業のうち、2017年10月に都市計画決定を受け、現在解体作業が始まりつつあるのが「大山町クロスポイント周辺地区」再開発。商店街に面した建物16棟を含む計31棟を解体し、上記道路の一部とタワーマンション2棟を建設することになっている。
すでに解体に向けた手続きが開始されており、再開発組合によれば、早ければ8月25日からアスベストの除去を始めるという。12月末までに除去を完了。来年3月末までに解体工事を終える見通しだ。
ところが専門家が同21日に再開発組合を訪れてアスベストの事前調査報告書を閲覧したところ、調査ミスとみられる箇所がいくつも見つかったのだ。