◆中国から機械部品の輸入中断か
北朝鮮の地方都市で、電力供給が5月頃から悪化し、水道が麻痺するなど住民生活に支障が出ていることが分かった。北部地域の二地点で調査した。
中国に近い両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市に住む取材協力者A氏は、8月12日に次のように現状を伝えてきた。
「市の中心地域でも一日に2時間程度しか電気が来ていない。幹部たちは『周囲の重要建設に電力を集中させている』と説明しているが、配電部の人間に聞いたところ、コロナで中国との貿易が止まったため、発電所の設備が故障しても部品交換ができず、電力生産が落ちたのだそうだ」
北部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡でも、住民地区への電気供給が悪化している。茂山郡には北朝鮮随一の鉄鉱山があり、優先的に電力が供給されてきた。鉄鉱山周辺の住民地区もその恩恵に預かり、他の地方都市と比べて電気事情はましな方だった。
茂山郡に住む取材協力者B氏は、8月11日は次のように伝えてきた。
「鉄鉱山は制裁で中国への輸出が止まって以来、大半の生産がストップしているが、『自力更生で運営せよ』の号令で、一応一日18時間ほど電気が供給されている。それなのに住民地区には2~5時間ほどしか来ていない。ポンプが動かずアパートの水道が出るのは1日に30分から2時間ほどだ」
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