東京都板橋区・ハッピーロード大山商店街で懸念の声が高まる再開発の解体ラッシュによるアスベスト(石綿)問題をめぐり区議会でも追及があった。(井部正之/アジアプレス)
◆「前代未聞の規模で解体」と区議会で指摘
東武東上線・大山駅からアーケードに直結する同商店街は全長560メートル。1日3万4000人が訪れる「板橋の顔」だ。現在同商店街を斜めに分断する道路(補助第26号線)建設に加えて2つの再開発計画が持ち上がり、商店街「存続の危機」ともささやかれる。
先行して動き出しているのが上記道路の一部を整備し、2棟のタワーマンションなどを建設する「大山町クロスポイント周辺地区」再開発。同商店街に面した建物など計31棟が解体されるのだが、その際のアスベスト飛散が懸念されている。
この再開発について、9月24日の板橋区議会本会議で金崎文子議員(共産党)は「(区内でも)前代未聞の規模で解体工事が一斉に行われていこうとしている」と指摘。区の指針は、工事の発注者などがアスベストの調査結果や施工方法、飛散防止対策などを地元住民に「説明会または戸別訪問」で説明するよう定めている。
金崎区議は、再開発組合が「近隣への解体工事のお知らせを各戸へ投函するだけで進めようとした」として「説明会を強く求め」、その結果、7月21日に説明会が実施されたと明かす。つまり、説明会の実施は再開発組合が当初から自発的に実施したものではなかったことになる。
しかも説明会で再開発組合側は、「アスベストについては建物31棟のうち、アスベストが含まれるのは7棟ですと説明した」(金崎区議)という。
説明会の参加者によれば、「(成形板などの)レベル3建材は目視で拾い出し中で、漏れなく拾っているところ」と説明されている。参加者の1人が「いつ終わるのか」と聞いたら、「近々終わります」との回答だった。
のちに解体する31棟すべてにアスベストが使用されていた(みなし含有含む)ことが現場に掲示されたが、説明会段階では一部調査中とされ、網羅的に説明されていないことになる。アスベスト調査結果や施工方法、安全対策が「説明されていない」と地元住民が憤慨しているのはこうした事情からだ。