アスベストによる被害がほとんどとされる中皮腫による死亡者数が2019年は1466人だったと厚生労働省が9月17日、発表した。前年より46人減だが、全体として増加傾向は変わらないとみられている。(井部正之/アジアプレス)
◆中皮腫死のワーストは大阪府
人口動態統計によるデータで、1995年から作成されているもの。
2019年中皮腫死亡者数1466人の内訳は男性1220人で、女性246人。統計がとられるようになった1995年以降の累計で2万6608人まで増加した。
都道府県別で中皮腫死亡者数が多かった順にワースト3を挙げると大阪府148人、東京都123人、兵庫県107人。ワースト10まで挙げると、続いて北海道93人、神奈川県93人、愛知県83人、埼玉県75人、福岡県71人、千葉県61人、静岡県47人、広島県47人となる。
政令指定都市別では同じく東京都区部89人、大阪市、48人、横浜市42人、札幌市33人、名古屋市31人、神戸市31人、福岡市19人、新潟市18人、広島市16人、京都市14人の順となる。
ちなみにクボタの旧工場被害が多数出ている尼崎市は政令市ではないため単独では計上されておらず、兵庫県の被害者数に含まれている。
過去の死亡者数との比較では、前年より46人減で、現段階でもっとも死亡者数が多い2017年より89人減った。
ただし、過去のアスベスト使用量と中皮腫死亡者数には相関がみられ、数十年早く被害が出ている英国などの例から日本の被害はまだ初期段階というのが専門家の見解だ。
1995年以降の被害者数の増減傾向をみても、ある程度増加した後に若干減少し、その後再び増加に転じることを繰り返している。そのため、この数年は減少気味だが、今後また増加傾向となることが推測される。
日本の中皮腫死亡者数について、2002年に早稲田大学理工学部の村山武彦教授(当時)らは「2000年から30年間で5万8800人、2039年までの40年間で10万3000人」と推計している。
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