ガザでは8月24日に初の新型コロナ感染者が出たことで、「ロックダウン」が始まった。10月現在、一部緩和されたが、この問題が解決されたわけではない。9月末、病院や路上、モスクを撮影した写真が届いた。取材・撮影はガザ現地の人たちを通して行った。 (構成:古居みずえ/アジアプレス)
◆イスラエルの封鎖でピンチの医療現場
ガザの累計感染者数は10月7日現在で、3700人(ガザ自治政府保健省)。長年のイスラエルによる封鎖で医療体制が脆弱で、医療器具や医薬品が不足するなど、状況は緊迫している。
ガザの病院はコロナ患者専用の病院と一般患者専用の病院と分けてられる。ガザ南部にあるこの病院は一般患者専用だ。感染していることが分からず病院に来る患者がいるため、医師はコロナ防護服を着て診療にあたる。
医師が患者にコロナウイルスに感染していると疑った場合、病院内の隔離部門でコロナの検査が行われ、結果が陽性の場合、緊急にコロナ患者専用の病院に移される。
◆通りから人の姿は消え、モスクも閉鎖
通常、ガザではどこの町に行っても、どの難民キャンプに行っても、通りにはたくさんの人たちで溢れている。しかし8月25日、町からキャンプから人々が姿を消した。世界ではロックダウンというが、パレスチナでは外出禁止令と呼ぶ。イスラエルの軍事占領下で使われる言葉がそのまま使われている。自治政府はコロナの拡散を防ぐために、海、港、およびそれらを取り巻く通りを閉鎖した。
イスラム教徒のお祈りは生活の一部となっていて、一日5回の祈りはかかせない。毎日たくさんの人たちがモスクに来るが、外出禁止令が出てからは閉じられたままだ。
誰もいないモスクで一人祈る男性がいた。
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