会計検査院が11月10日内閣に送付した「令和元年度決算検査報告」で新型コロナウイルス対策として全戸配布した「アベノマスク」の関連経費についても検査中の可能性があることが同日公表の報告概要で明らかになった。(井部正之)
◆「国民の関心高い」と検査項目に
検査院が同日公表した「令和元年度決算検査報告の概要」によれば、国会などで議論されたり、新聞などで報道されたりした内容など「国民の関心の高い事項」について「必要に応じて機動的・弾力的な検査を行うなど、適時適切に対応する」としている。
新型コロナウイルス対策として全戸配布し、虫や髪の毛といった異物の混入に加え、配布が始まった時期にはすでに不織布マスクが入手しやすくなっていたことから「税金の無駄遣い」などと批判されてきた「アベノマスク」。さらに随意契約による不透明な発注なども問題になった。その諸経費500億円超については今回の検査結果には含まれていない。
しかし、報告概要の「その他の検査の状況」との項目に、「新型コロナウイルス感染症対策関係諸経費等の執行等に係る問題について検査を実施している」と示されており、検査対象に含まれている可能性がある。ただしそれ以上の記載はなく、検査状況等、詳細は不明だ。
会計検査院に電話で問い合わせたところ、渉外広報課は「新型コロナウイルス感染症対策関係諸経費等の執行等については検査を実施してます。新型コロナ対策では執行中のものが多いので、検査の結果は今回の検査報告には載ってございません。いままさに検査を実施していますとご理解いただければと思います。報告に載せるべきものがあれば、来年報告に記載するかたちになる」と答えた。
「アベノマスク」関連の予算執行が実際に検査対象となっているのか何度も確認したが、渉外広報課は明言しなかった。そのため、今回の検査で「アベノマスク」関連が除外されていないか聞いたところ、「新型コロナ対策の関連経費の範ちゅうに入るものは執行について検査することになる」との回答だった。
検査報告の概要によれば、国民の関心の高い事項については、「正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査」をするとしている。来年同時期とみられる検査結果が注目される。
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