大阪府守口市で散々問題になった旧庁舎のアスベスト(石綿)除去が6月23日に完了して4カ月あまり。しかし、じつはまだ積み残された問題がある。その1つが深刻な調査ミスをめぐる問題だ。(井部正之/アジアプレス)
◆最も危険性の高いアスベストの取り残しが大量に
市は大阪メトロ谷町線の守口駅と隣接する旧庁舎(計4棟)を解体し再開発する計画だ。ところが、2018年12月7日の説明会でアスベストの調査や分析が不適切だったことが発覚。2019年1月に工事を停止した。
さらに説明会の前日からアスベストの除去を開始していたことが判明。専門的な知識を有する第三者機関による事前調査の検証を求める声が高まった。市は同2月、建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)に第三者としての調査を依頼した。
その結果、驚くべき事実が明らかになった。
すでに成形板などレベル3建材は8~9割は除去済みだったにもかかわらず、4棟でなんと計167カ所におよぶアスベストの調査ミスが見つかったのである。
しかも1号別館では以前に除去作業を実施ずみとしていた1~5階の各機械室で、もっとも危険性の高いクロシドライト(青石綿)の吹き付けアスベスト(レベル1建材)の取り残しが大量に見つかった。
壁に設置された40~50センチメートルの金属製のダクト周りや天井のダクト裏に青石綿の吹き付け材が複数箇所でごっそり残っていた。また設備を撤去しなくても目視で確認可能な青石綿の取り残しもあったと調査者協会は認める。
筆者は2019年5月22日にレベル1建材(内壁の仕上塗材含む)だけで少なくとも24カ所の見落としがあったことを報じた。その際、ほかの建材まで数えると「下手をすると3桁の大台に乗りかねない」と指摘したが、まさしくその通りだったことが同9月の説明会における市の公式発表で裏付けられた。
調査ミスの内訳は、吹き付けアスベスト10カ所、仕上塗材(セメントや合成樹脂などの結合材、顔料、骨材を主原料として壁などの表面に凹凸模様など形成する仕上げ施工)74カ所、成形板など83カ所。
「あのまま解体されていたらと思うとゾッとします」と当時、市財産活用課の担当者は明かした。