本館3階の更衣室流し台に散乱するスレートの破片。調査者協会の報告書より

◆府条例違反も複数発覚

同7月の説明会でも市は不適正作業から4カ月後に敷地境界で空気中のアスベスト濃度を測定して「問題ない」と主張。住民から「なぜすぐ測定しないのか」と批判され、謝罪に追い込まれた。

しかも内壁にアスベストを含有する仕上塗材(壁や天井表面に複数層塗る仕上げ施工)が使われていたにもかかわらず、除去せず解体した不適正作業について、府が「法違反の可能性が高い」と市を指導していたが、施工を請け負ったダイナ建設(大阪市)は「法に触れることはしてない」と主張する始末だった。説明会は紛糾し、住民からは施工業者と監理業者の変更を求める声が相次いだ。

その後、2018年12月7日の説明会前後に実施されていた成形板など「レベル3」建材約6300平方メートルの除去についても調査者協会が現場検証し、アスベストを飛散させた可能性があることが発覚した。

レベル3建材は穴を開けたり割ったりしなければ、アスベストが飛散しない。そのため、作業時は割らずに撤去するよう大阪府の条例や市の発注仕様で求めている。

もともと2カ月におよぶ作業の計画だったのが、2018年12月の説明会当日を含むわずか3日間でこっそり除去されていたことから住民が不適正工事の可能性を指摘していた。だが、施工のダイナ建設や施工監理の建綜研(大阪市)は「適正に実施した」と否定。しかし、実際にはバール(かなてこ)で破砕しながらの不適正作業だったことが調査者協会によって裏付けられた。

除去時にアスベストが漏れないよう換気扇や窓などの隙間(開口部)をふさぐ措置も一部で実施されていなかったことが作業当時に筆者が撮影した写真や取材で明らかになっている。そのため、外部に飛散した可能性もある。同協会の報告書でも適切に湿潤化が行われたか「不明」とされている。

ところが、市は「散水した」との業者の説明だけを根拠に飛散してないと市議会で答弁した。市にとって都合の悪い情報を無視したといわれても仕方あるまい。

さらには、府生活環境の保全等に関する条例で作業の14日前までの届け出が義務づけられている一部の成形板について、業者が提出した現場写真の撮影データから違反が明らかになっている。おまけに清掃も不適正で、建物内の床などにアスベストを含む細かな建材の破片が散乱していた。これらについては、その後、府条例違反として指導されている。

「調べれば調べるほど問題点が出てくる状況」と調査者協会の担当者が説明会でぼやくほどだった。

結局、2018年12月7日の説明会でレベル3建材のアスベスト除去について、業者が「適正に実施する」「我々もプロですから」と強調していたが、調査、除去、清掃まで軒並み不適正だったことが裏付けられた。しかも当日まさに不適正作業をしながら、ウソを吐き続けていたことになる。

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