昨年夏の爆撃で故郷の村を追われたファウジアさん。夫と子供たちは隣国レバノンに。(12月上旬バティティーヤにて・ムハンマド・アル・アスマール撮影)

◆高齢母支え、妹と仮設で避難生活の女性

シリア北西部イドリブは、反体制派の拠点のひとつとなってきた。一帯にはシリア政府軍(アサド政権)やロシア軍の攻撃から逃れた人たちの避難民キャンプが点在。イドリブ北方のバティティーヤにある「アル・タハ避難民キャンプ」で避難生活を送る女性、ファウジアさん(50歳)からキャンプの日常を伝える写真が届いた。地元記者を介し、ネット回線で話を聞いた。(取材・構成:玉本英子/アジアプレス、取材協力:ムハンマド・アル・アスマール

ファウジアさんのテント。高齢の母と妹の3人で暮らす。この日の食事は、じゃがいもを煮て、トマトペーストを加えたスープ。(12月上旬バティティーヤにて・ムハンマド・アル・アスマール撮影)

ファウジア・アル・ガジャリさん(50歳):
高齢の母と妹の3人で、このキャンプに暮らしています。昨年9月、イドリブ南部のアル・タハから避難してきました。夫とは内戦前に別居、夫は子供たちを連れてレバノンへ移住してしまいました。ベイルートでは賃貸アパートに暮らしていて、娘は清掃員の仕事をしているそうです。コロナ禍の影響もあって、向こうの生活もとても厳しいようです。 夫には「レバノンの生活だって手一杯。すまないが、お前を助ける余裕はない」と電話で言われました。寂しいです。

仮設テントは雨風が入り込む。冬の暖を取るのも容易ではない。(12月上旬バティティーヤにて・ムハンマド・アル・アスマール撮影)

◆政府軍の攻撃激化、村脱出し避難民キャンプに

昨年の夏、アサド政権の政府軍による村への爆撃や砲撃が始まりました。最初、なんとかなるだろうと思い、村に残っていました。しかし攻撃は収まらず、別の地域に移動せざるを得なくなりました。今度は偵察機が移動中の車を監視するので、逃げることも難しくなりました。その後、村から脱出できましたが、家財道具など何ひとつ持ち出すことができませんでした。

この日は拾った枝を集めて火をおこし、スープをつくる。(12月中旬バティティーヤにて・アブドゥル・サラム撮影)

◆畑で一日働き、約150円を得る

キャンプそばのオリーブ畑で収穫の仕事をしてわずかながら生活の足しにしていました。一日働いて10トルコリラ(イドリブのレートで約150円)をもらいます。イドリブではシリアポンドよりも、トルコリラが流通しています。じゃがいも1キロが3リラ(約40円)、トマト1キロが4リラ(約55円)します。私たちには安い金額ではありません。料理するためのプロパンガス、生活用品…。何をするにもお金が必要です。肉を食べたのはいつのことだったか忘れてしまいました。
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