◆内戦の苦境めげず大学めざす
反体制派が実効統治するシリア北西部イドリブ。シリア政府軍、ロシア軍と、反体制派との戦闘が続いてきた。激しい戦闘や空爆で2019年4月以降、少なくとも1700人の民間人が巻き込まれ、命を落としたといわれる。戦火のなかの学生生活について、男子高校生フセイン・アブドゥル・ラーマン君(17)にネット回線で話を聞いた。全3回連載の2回目。(聞き手・構成:玉本英子/アジアプレス、取材協力:ムハンマド・アル・アスマール)
<シリア内戦>イドリブの学生たち(1)戦火のなかの受験生 トップ成績を収めた15歳少女(写真6枚)
フセイン君(17):両親と4人きょうだいの6人家族です。市の中心地に近い地区に住んでいます。9月に新学年が始まるので、高校3年生になります。今年は新型コロナ対策の影響で、春から学校が休校続きでした。今は夏休みですが、勉強に忙しい毎日です。塾にも通って、数学、物理学、フランス語など、いくつかの科目を勉強しています。イドリブの生徒は現在、アサド政権のシリア教育省の教科書ではなく、「暫定政府」の教育局が独自に発行した教科書や教材で勉強しています。
高校卒業後は大学進学したいです。シリアには、有名な大学がいくつもありますが、僕たちがアサド政権地域の大学に行く決断をするのは容易ではありません。アサド政権地域に行けば、反体制派が統治するイドリブの出身ということを理由に拘束される懸念があります。家に戻れなくなるかもしれないのです。イドリブにはいくつかの私立大学がありますが、費用がかかります。
イドリブの大学の学位が国際的に認められるようにしてほしいです。将来は、ウェブ・プログラマーになりたい。シリアの若者は戦争と隣り合わせですが、教育は、若者たちや社会の将来にとって、とても重要だと思います。