◆内戦でも夢と希望を失わず
反体制諸派による「暫定政府」が実効統治するシリア北西部イドリブ。アサド政権・シリア政府軍やロシア軍の攻撃は続く。今回、14人のイドリブ在住の中、高、大学生たちに連絡をとったが、ほとんどが家族や友人の誰かを亡くしていた。連載最終回は、イドリブで心理学を学ぶ女子大生のアマニさん。ネット回線で話を聞いた。(聞き手・構成:玉本英子/アジアプレス、取材協力:ムハンマド・アル・アスマール)
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<シリア内戦>イドリブの学生たち(2)「楽しいはずの高校生活 ずっと戦争でくやしい」(写真10枚)
アマニ・ザンギさん(21):イドリブの大学の教育学部心理学科2年生です。私は、母と次男の兄と、兄の家族3人の計6人でイドリブ郊外に暮らしています。弟はトルコで医学を勉強中です。姉は結婚して子供が3人いるのですが、私と同じ大学に通っています。一番上の兄は2年前に、父は7年前に病気で亡くなりました。なので兄と母が一家の大黒柱です。私は家事などの手伝いをしながら、宿題、学習に励んでいます。教育学部の実習で、補助員として幼稚園で働いていたこともあります。
大学では新型コロナ感染対策が呼びかけられ、マスクをつけるなど気をつけていました。今は夏休みということもあり、外で友達と会うことはありません。出かけるとしたらいつも母と一緒です。イドリブの夏は暑く、昼は40度近くなります。時折、雨が降ることもあり、その時はホッとします。
大学に行かない時、一日のほとんどを家で過ごすのですが、心理学を勉強しているので、家では自分の感情や気持ちの揺れなどをノートにつづったりします。絵を描くことにも興味があり、いくつかのアートワークを持っていて、展覧会のための絵を描いたりします。
◆SNSで互いの無事を確認
あと、イドリブでは全員ではないですが、大学生でスマホを持っている子も結構いて、それぞれ自宅のWIFIルータを使い、ネット回線で会話したりします。SNSでのメッセージのやりとりは互いが無事でいることの安否確認でもあります。
私はスマホでユーチューブの音楽を聴いたりします。お気に入りはピアノ曲のマリアージュダムール。ピンタレスト(写真共有サイト)ではいろんな絵や写真を見つけます。これもスマホでですが、アメリカのテレビ番組「アメリカズ・ゴット・タレント」の才能あふれる人たちのチャレンジを見るのも大好きです。他には、シーシャ(水タバコ)を楽しむこともあります。