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◆戦火の住民の声を記録
9年を超える内戦が続くシリア。北西部イドリブではシリア政権軍と、反体制諸派との激しい戦闘が続いてきた。イドリブ在住の女性、サルワ・アブドゥル・ラーマンさん(47歳)は、独立系衛星テレビ局、アレッポ・トゥデイTVのイドリブ支局で働く。市民の日常生活や、女性たちの思いについて、ネット回線を通して聞いた。(聞き手・構成:玉本英子/アジアプレス、取材協力:ムハンマド・アル・アスマール)
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サルワ・アブドゥルラーマン(47):
イドリブ市内に暮らしています。アレッポ・トゥデイTVのイドリブ支局で、女性や市民生活に焦点を当てたニュースを制作しています。
現在、新型コロナウイルス感染の症例が増えているのですが、市民の多くは関心がありません。コロナにかかっても検査や治療を受けることもできないし、それよりも食べるため、仕事に出ないといけないというのもあるからです。
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私は結婚後、23年間アレッポに住んでいましたが、内戦が始まり、2012年に私の実家があるイドリブに移住しました。夫は携帯電話ショップの経営を始めましたが心臓発作で亡くなりました。専業主婦だった私は、3人の子どもを食べさせなければならなくなりました。
当初仕事がなく、子どもを食べさせるため、お金を借りに回ったり……。この時のつらさは言葉に言い表せません。
◆「内戦で苦しむ自分のような女性を取材したい」
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私は市内に記者を養成する研修所があると聞き、通い始めました。結婚前まで英語を勉強していたのですが、ジャーナリズムについては素人でした。でも、内戦で苦しむ自分のような女性たちを取材したいと思いました。
その後、私はアレッポ・トゥデイTVの契約スタッフになることができました。現場取材では、街頭での撮影やインタビューなど、すべてをこなしています。
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