撮影から原稿書きまでこなす。(2020年9月イドリブのオフィス:同僚撮影)

イドリブの大人の女性たちはほぼ全員、頭にスカーフを巻いたり、身体までを覆うヒジャーブをかぶっています。ただし、その「度合い」はそれぞれの家庭によります。ここでは「宗教警察」として知られる人たちが存在します。以前は、彼らが女性の服装に介入したり妨害することもありましたが、いまは少なくなったように感じてます。

◆戦争で物価高騰 支援物資は行き届かず

レモンが1キロで5トルコリラ(約68円)。トルコ軍の影響が及ぶ地域でもあるイドリブでは、シリアポンドの他にトルコリラが流通。(2020年9月イドリブ市内:ムハンマド・アル・アスマール撮影)

電気は地区に大型の発電機があり、そこから地区の各家庭に送電されます。1日3時間電気が使えて、月に8ドル(約845円)支払います。冷蔵庫、掃除機、食洗機は使えません。

家にテレビもありますが、もう何年も観ていません。シリアのニュースチャンネル、料理番組、フランス24やBBCなどすべての情報をスマホから得ています。避難民キャンプに身を寄せる女性の多くはスマホを持てない状況です。


イドリブ市内。周辺地域などからの避難民が増加し、イドリブ県には現在300万人が暮らすといわれる。いつ攻撃されるかと、住民は怯えている。(2020年9月:ムハンマド・アル・アスマール撮影)

シリアの他の地域と比べても、イドリブの物価は高いといえます。1週間に2回買い物に行きます。肉1キロが2万5000シリアポンド(イドリブのレートで約1200円)もします。肉は1か月に1度食べるご馳走です。家では野菜や果物を中心に食べます。牛乳やスープですませることもあります。

支援物資は避難民キャンプの人々に重点的に配られます。市内に暮らす私が貰えたのは1年半以上前の1回きりです。

◆空爆で自宅が破壊 子どもは瓦礫の下敷きに

空爆で破壊されたサルワさんの自宅。息子は瓦礫の中から救け出され助かったが、隣人は亡くなった。(2017年イドリブ市内:サルワさん撮影)

一番怖かったのは空爆を受けたことです。家にいましたが、ガラスが粉々に砕けると危ないので窓を開けっぱなしにしました。戦闘機が接近してものすごい爆撃を行い、家の壁が崩れ落ちました。息子は瓦礫の下敷きになりましたが救い出されました。隣人が亡くなりました。

今後、同じような攻撃があるかもしれないと思うと、背筋が震え上がります。その時は子どもたちだけでも国外に逃がしてやりたいです。

オフィスで休憩。「仕事と家庭の両立が難しい」とサルワさんは言う。戦争と隣り合わせのなかで、家族の生活を支えていかなければならない。(2020年9月イドリブ市内:同僚撮影)

いま、政治的にどのような変化があり、各派間で合意ができているのかなどの情報が視聴者に届きにくくなっているように感じます。あと具体的な戦闘情報などを伝えることが必要です。それがわかれば、爆撃されている地区から、どう安全に逃げたらいいのか判断の手助けになると思うのです。

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